高校化学では、何度か「漂白作用」という言葉を目にします。具体的には無機化学で「オゾンと次亜塩素酸、二酸化硫黄には漂白作用がある」と習います。
試験的にはその事実だけを知っておけば事足りますが、原理を知りたいと思う人も一定数いるはずです。
この記事では、高校では教えてくれない漂白作用の原理について解説します。
漂白とは?
まず、漂白とは何でしょうか。ただ白くすることではありません。
漂白とは、色素を酸化・還元して無色(白色)の物質に変えることです。
このことを聞いてピンと来るかもしれません。つまり、
オゾンと次亜塩素酸は酸化作用があり、二酸化硫黄は還元作用があるため漂白作用を持つのです。
一般的に聞くことが多い塩素系漂白剤や酸素系漂白剤は酸化による漂白をしているわけです。
なぜ酸化還元で色が変わる?
漂白の正体が酸化還元反応であると知れたあとは、もう一歩踏み込んでなぜ色が変わるのか?という疑問も解消していきましょう。
ここからは高校化学を超えた内容が含まれますが、なるべくわかりやすく解説します。
色がついている物質の分子には、発色団と呼ばれる色の原因となる部分があります。
例えば、有機化学で習うp-フェニルアゾフェノールは赤橙色を示しますが、これは分子中のアゾ基(ーN=Nー)が黄色~赤色を示しやすい発色団であるからです。
他にも発色団には、>C=O、ーN=O、ーNO₂、>C=C<などがあります。
また、助色団と呼ばれる発色を助ける部分もあります。
助色団には、ーOH、ーCl、ーSO₃H、ーNO₂などがあります。
これを踏まえると酸化漂白の場合は、漂白作用をもつ物質が発色団の2重結合や助色団のーOHなどを酸化することで構造が壊れ色を失います。
還元漂白の場合は、漂白作用を持つ物質が酸素を持つ発色団・助色団を還元することで構造が壊れ色を失います。
まとめ
以上が、漂白作用の原理です。試験には出ないことですが、原理を知ることで覚えやすくなったり、他のことにも応用が効くようになります。
なにより、知れば一層化学が楽しくなります。
今後も、高校化学の小さな疑問に答える記事を書いていきます。
そがしブログではその他の科目の勉強法についての記事も上げています。良ければご参照ください。
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