物質量(アボガドロ定数・モル質量・モル体積など)

この記事で学ぶこと
  • 物質量とアボガドロ定数
  • モル質量・モル体積
  • アボガドロの法則
  • 計算のコツ(+α)

物質量と粒子の数

身の回りの物質を原子や分子などの粒子単位で数えると、数が大きすぎて扱いづらいことがすぐに分かります。
例えば、鉄1gに含まれる鉄原子の数は、およそ1.07×10²²個になります。

使いづらい原子の質量に対して相対質量があるのと同じように、
粒子の数に対応する使いやすいもの、物質量があります。

キーワード

物質量:6.02×10²³個の粒子を1まとまり(=1mol)に変換して、molという単位で表した物質の量

また、このときの6.02×10²³/mol(1molあたりの粒子の数)のことをアボガドロ定数と言います。

例題を使って、粒子の数→物質量への変換について確認しましょう。

例題

問:酸素分子1.806×10²⁴個の物質量は何molか、アボガドロ定数を6.02×10²³/molとする。

解答:タップで表示

酸素分子の物質量は、(酸素分子の数)÷(1molあたりの粒子の数=アボガドロ定数)だから

酸素の物質量= 1.806×10²⁴ ÷ 6.02 × 10²³/mol
= 3mol


物質量と質量

物質量と質量の関係について見ていきましょう。
1molあたりの質量をモル質量(単位:g/mol)と呼びます。

モル質量の特徴は、原子量・分子量・式量と大きさが同じことです。

具体例
  • ヘリウムHe(原子量4)のモル質量=4g/mol
  • 水H₂O(分子量18)のモル質量=18g/mol
  • アルミニウムAl(式量27)のモル質量=27g/mol

こちらも例題を使って、質量→物質量への変換を確認しましょう。

例題

問:黒鉛30gの物質量は何molか、炭素の原子量を12とする。

解答:タップで表示

黒鉛(C)の物質量= (黒鉛の質量) ÷ (1molあたりの黒鉛の質量=黒鉛のモル質量)であり、
黒鉛のモル質量= 12g/molだから

黒鉛の物質量=30g ÷ 12g/mol
      =2.5mol


物質量と気体の体積

アボガドロの法則

気体の体積と気体に含まれる分子の数の関係を表すものに、アボガドロの法則があります。

キーワード

アボガドロの法則:同温・同圧のもとで、全ての気体は同じ体積中に同じ数の分子が含まれている。

簡単に言うと、「温度・圧力・体積が同じだったら、どんな気体でも分子の数が一致する」ということです。


モル体積

1molあたりの質量をモル質量と言うように、1molあたりの体積をモル体積と呼びます。

先ほどのアボガドロの法則から、温度・圧力・分子の数(物質量)を決めれば体積が決まります。
モル体積を求めたいので分子の数=1molに、温度と圧力は標準状態(温度=0℃、圧力=1.013×10⁵Pa)と呼ばれる状態にすると、モル体積は22.4L/molとなります。


気体の密度と分子量

密度とは、単位面積あたりの質量のことです。
一般的に物質の密度を表す際の単位はg/cm³を使いますが、化学ではcm³をLに変換することがよくあります。気体の体積はLを使って表すため、気体の密度はほとんどの場合単位にg/Lを使用します。


空気1molの体積と質量

純物質と混合物で紹介した通り、空気の主成分は窒素N₂と酸素O₂であり、その割合は4:1です。

ここまでの勉強したことを使えば、標準状態・体積22.4Lにおける空気の分子量や密度を求めることができます。
例題を使って求めていきましょう。

例題

問:空気は窒素N₂と酸素O₂の混合物であり、その割合は4:1である。原子量:N=14、O=16として次の問に答えよ。

問1.空気の見かけの分子量(平均分子量)を求めよ。
問2.標準状態で22.4Lの空気の質量は何gか。また、密度は何g/Lか。

解答:タップで表示

問1.N₂とO₂の分子量は28と32であり、割合は4:1だから
   空気の平均分子量 = 28×4/5 + 32×1/5
           = 28.8
問2.空気は標準状態で22.4Lだから、空気の物質量は1molである。
  また、問1より空気のモル質量は28.8g/molであると分かるから
   空気の質量= 28.8g/mol × 1mol
28.8g
空気の密度= 28.8g ÷ 22.4L 
        = 1.285…g/L
       ≒ 1.29g/L
  


+α

計算のコツ

この単元から、化学の計算が本格的にスタートします。
molからgへの変換・個数からmolへの変換などは、慣れないと難しく感じると思います。

計算のコツは、「単位で掛け算・割り算をすること」です。
例題を使って見てみましょう。

例題1

問:水素0.15molは、標準状態で何Lか。

解説
この問題は、mol→Lなので単位だけで式を立てると

mol(物質量) × L/mol(何か) = L(体積)

となります。
何か”はL/molを単位とするものであるモル体積、標準状態なので22.4L/molですね。

したがって結果は下のようになります。

0.15mol × 22.4L/mol = 3.36L


例題2

問:アルミニウム54g中のアルミニウム原子の数は何個か、アボガドロ定数を6.0×10²³/molAlの原子量を27とする。

解説
この問題は、g→個数 ですがいきなりは変換できません。
アボガドロ定数が使えるので、g→mol→個数と変換していきましょう。

  1. g(質量) ÷ g/mol(何か) = mol(質量)
  2. mol(物質量) × 個数/mol(アボガドロ定数) = 個数

何か“は単位がg/molのものであるモル質量、モル質量の値は原子量と同じなので27g/molですね。

したがって結果は下のようになります。

  1. 54g÷27g/mol=2mol
  2. 2mol×6.0×10²³/mol=1.2×10²⁴

以上のように単位を中心に考えることで、計算がやりやすくなります。


タイトルとURLをコピーしました