この記事で学ぶこと
- 金属結合と自由電子
- 金属の性質
- 金属の例と合金
金属結合と金属結晶
金属元素の原子が互いに結合する際、電気陰性度が小さいため価電子は自由に動き回ることができます。このように動き回る電子を自由電子とよび、自由電子による金属元素どうしの結合を金属結合とよびます。
また、金属元素の原子が金属結合によって結びつき、規則正しく配列してできる結晶を金属結晶と呼びます。
金属の性質
金属には、以下の性質があります。
- 展性・延性を示す
- 金属光沢がある
- 熱・電気伝導性が高い
これらの性質は、全て自由電子によって説明できます。
順に見ていきましょう。
展性・延性を示す
金属には、展性(たたくと薄く広がる性質)と延性(引っ張ると細長く延びる性質)があります。
イオン結晶と同様に、金属結晶も外部から力を受けるとイオン(金属イオン)の位置がずれます。
しかし金属結晶の場合、自由電子が結晶全体を移動しているので、多少位置がずれても金属結合が切れることはありません。そのため、叩いたり引っ張ったりしても金属は簡単に切れません。
金属光沢がある
金属の表面は輝いており、このことを金属光沢があるといいます。
そもそも光沢とは、光が反射することにより生じる現象です。
光沢がある物質に光が入ると、同じ光が返ってきます。
金属の場合、反射を行っているのは自由電子です。
金属に入ってきた光を自由電子が反射しています。
熱・電気伝導性が高い
金属は、電気と熱をよく通す性質(電気伝導性・熱伝導性)があります。
これらの性質は、自由電子が結晶中を移動して電気・熱を伝えるため存在します。
電気伝導性がある非金属の黒鉛と比べると、金属元素の電気伝導性が高い事がわかります。
金属の利用
ここでは、銅・鉄・アルミニウム・金・銀・水銀についてまとめます。
名称 | 性質 | 利用例 |
---|---|---|
銅 | ・銀に次いで2番目に電気・熱伝導性が高い ・赤色の光沢がある ・空気中で放置すると緑青と呼ばれるサビが生じる | ・導線 ・調理器具 |
鉄 | ・加工しやすい ・融点が高い(1535℃) ・さび(赤さび)が生じやすい | ・建築材料 ・鉄道のレール ・酸化防止剤 |
アルミニウム | ・加工しやすい ・軽い | ・飲料の容器 ・新幹線や自転車の車体 |
金 | ・展性・延性が最大 ・化学的に安定で反応性に乏しい | ・装飾品 ・集積回路 |
銀 | ・電気・熱伝導性が最大 | ・食器 ・装飾品 |
水銀 | ・常温で液体(金属で唯一) ・毒性が高い | ・めっき ・体温計(古いもの) |
合金
1つの金属元素からなる純金属に、1種類以上の他元素を混ぜたものを合金と呼びます。
この記事では、6種類の合金の名称・成分・性質・利用例についてまとめます(教科書よりも細かめに書いています)。
名称 | 成分 | 性質 | 利用例 |
---|---|---|---|
青銅(ブロンズ) | Cu,Sn | ・さびにくい ・安価である ・加工しやすい | ・10円玉 ・美術品 ・銅像 |
黄銅(真ちゅう) | Cu,Zn | ・黄色の光沢をもつ ・さびにくい ・加工しやすい | ・5円玉 ・楽器 |
ステンレス鋼 | Fe,Cu,Ni,C | ・さびにくい | ・流し台 ・工具 ・鉄道車両 |
ジュラルミン | Al,Cu,Mg,Mn | ・非常に軽い ・強度が高い | ・航空機の機体 |
ニクロム | Ni,Cr | ・電気抵抗が大きい | ・電熱線 |
はんだ | Sn,Ag,Cu | ・融点が低い | ・金属の接合 |