金属結合と金属結晶(金属の性質・利用例と合金など)

この記事で学ぶこと
  • 金属結合と自由電子
  • 金属の性質
  • 金属の例と合金

金属結合と金属結晶

金属元素の原子が互いに結合する際、電気陰性度が小さいため価電子は自由に動き回ることができます。このように動き回る電子を自由電子とよび、自由電子による金属元素どうしの結合を金属結合とよびます。

また、金属元素の原子が金属結合によって結びつき、規則正しく配列してできる結晶を金属結晶と呼びます。


金属の性質

金属には、以下の性質があります。

  1. 展性延性を示す
  2. 金属光沢がある
  3. 熱・電気伝導性が高い

これらの性質は、全て自由電子によって説明できます。
順に見ていきましょう。


展性・延性を示す

金属には、展性(たたくと薄く広がる性質)と延性(引っ張ると細長く延びる性質)があります。
イオン結晶と同様に、金属結晶も外部から力を受けるとイオン(金属イオン)の位置がずれます。

しかし金属結晶の場合、自由電子が結晶全体を移動しているので、多少位置がずれても金属結合が切れることはありません。そのため、叩いたり引っ張ったりしても金属は簡単に切れません。


金属光沢がある

金属の表面は輝いており、このことを金属光沢があるといいます。

そもそも光沢とは、光が反射することにより生じる現象です。
光沢がある物質に光が入ると、同じ光が返ってきます。

金属の場合、反射を行っているのは自由電子です。
金属に入ってきた光を自由電子が反射しています。


熱・電気伝導性が高い

金属は、電気と熱をよく通す性質(電気伝導性熱伝導性)があります。
これらの性質は、自由電子が結晶中を移動して電気・熱を伝えるため存在します。

電気伝導性がある非金属の黒鉛と比べると、金属元素の電気伝導性が高い事がわかります。


金属の利用

ここでは、銅・鉄・アルミニウム・金・銀・水銀についてまとめます。

名称性質利用例
・銀に次いで2番目に電気・熱伝導性が高い
・赤色の光沢がある
・空気中で放置すると緑青と呼ばれるサビが生じる
・導線
・調理器具
・加工しやすい
・融点が高い(1535℃)
・さび(赤さび)が生じやすい
・建築材料
・鉄道のレール
・酸化防止剤
アルミニウム・加工しやすい
・軽い
・飲料の容器
・新幹線や自転車の車体
展性・延性が最大
・化学的に安定で反応性に乏しい
・装飾品
・集積回路
電気・熱伝導性が最大・食器
・装飾品
水銀常温で液体(金属で唯一)
・毒性が高い
・めっき
・体温計(古いもの)

合金

1つの金属元素からなる純金属に、1種類以上の他元素を混ぜたものを合金と呼びます。
この記事では、6種類の合金の名称・成分・性質・利用例についてまとめます(教科書よりも細かめに書いています)。

名称成分性質利用例
青銅(ブロンズ)Cu,Sn・さびにくい
・安価である
・加工しやすい
・10円玉
・美術品
・銅像
黄銅(真ちゅう)Cu,Zn・黄色の光沢をもつ
・さびにくい
・加工しやすい
・5円玉
・楽器
ステンレス鋼Fe,Cu,Ni,C・さびにくい・流し台
・工具
・鉄道車両
ジュラルミンAl,Cu,Mg,Mn・非常に軽い
・強度が高い
・航空機の機体
ニクロムNi,Cr・電気抵抗が大きい・電熱線
はんだSn,Ag,Cu・融点が低い・金属の接合

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